“大人のひきこもり”が社会問題に…精神科医が解説する克服法と周りの接し方

こちらの記事は古く、現在の当団体の方針とは大きく異なる内容である可能性が高いですのでご注意ください。

2017年1月23日(月)ひきこもりが長く続いている間に支援が途絶えたり、生活リズムが昼夜逆転したりしている傾向が民間団体が行った初の実態調査で明らかになりました。(参考


また15歳~39歳のひきこもりは推定54万人にも上るとの公表もあり、大人のひきこもりが1つの社会問題となっているようですが、どのような解決策があるのでしょうか。

今回は精神科医のひな子先生に、大人のひきこもりの原因、症状、病院での治療法などを解説していただきました。

大人のひきこもりの原因


職場への不適応

退職などをきっかけに家にこもりがちになる例があります。

発達障害の影響

発達障害の存在から、なかなか社会にうまく適応することができず、結果としてひきこもりになる場合が見受けられます。

何らかの精神的ショック

職場を解雇されたり、失恋や離婚、身近な方の死などから立ち直れず、ひきこもりになる例もあります。

体調不良

腹痛など体のどこかの痛み、交通事故などの後の疼痛、線維筋痛症など何らかの体調不良により家から出なくなってしまう例を言います。

精神疾患

うつ病や統合失調症、不安障害やパニック障害、強迫神経症などの精神疾患の影響が原因の場合もあります。

その他

不登校の延長であったり、なんとなくひきこもりになってしまったといった例も存在します。

大人のひきこもりの症状


イラつき

ストレスを発散する場がなく、家族やものに当たったりするケースもあります。

不眠

出かける必要性がないことから、昼夜逆転をしたり、生活リズムの乱れなどから著しい不眠に陥っているケースも見受けられます。

無気力、気分の落ち込み

自宅にこもりきりになることから、気力がなくなるケースも数多くみられます。

インターネットやゲームへの依存

ひきこもりになると人付き合いをしなくなるので、インターネットや、ゲームにのめり込む場合があり、強い刺激に生活が支配されてしまいがちです。

ゲーム、インターネットに対するコントロールが効かなくなり、様々な健康リスクを引き起こすことも懸念されます。

大人のひきこもりの病院での治療法


問診内容

現在の生活状況、これまでの経過、精神疾患の症状の有無などを問診します。

検査内容

必要に応じて脳などの画像検査や、心理検査などを行うことがあります。

治療内容

医師による精神療法や、カウンセリングおよび支援団体の紹介などが考えられます。

精神疾患などが存在するときは、それの症状に対する治療が行われます。

処方される薬例

ひきこもりに対応した特別なお薬というのはありませんが、抗不安薬や睡眠薬などが症状に応じて出されることがあります。

大人のひきこもりを自分で克服する方法


ひきこもりは背景がさまざまであること、また、本人や周囲も状況を変えようとして努力をしてきたケースが多いことから、なかなか自分で克服することは困難なケースがほとんどです。

ただ、周囲が強制することなく、本人が興味を持てる集まりや、近所への短時間の外出などから始めることが克服の第1歩と考えられます。

大人のひきこもりに対する周囲の接し方


本人と敵対したり、何かを強制する、責めることは避け、できるだけ周囲からのサポートを受けられる環境を作ることが望ましいと考えられます。

また、大人のひきこもりで利用出来る支援サービスとして、支援センターや、自助グループなどがあります。

最後にひな子先生から一言


ひきこもりは大きな社会問題となっていますが、ケースごとに問題は様々です。

個々の状態をしっかり見つめて、少しでもひきこもりの方や家族の方が楽に暮らしていけるようになっていくといいですね。

監修:精神科医 ひなこ先生

卒後12年、専門は精神科。精神科病院、総合病院精神科、クリニックにて診療を経験。精神保健指定医、精神科専門医および指導医、産業医の資格あり。

 

 

 

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